令和4年度税制改正~生前贈与はどうなった?大家さんへの影響~「渡邊先生のちょっとイイ話」

掲載日:2022年03月29日 カテゴリー:資産相続
大家さん専門税理士の渡邊浩滋です。
令和3年12月10日に令和4年度の税制改正大綱(改正案)が発表されました。
大家さんに影響がありそうなものをピックアップして解説します。

生前贈与はどうなった?

生前贈与はどうなった?
今回の税制改正では注目されていた金融課税の見直し、生前贈与ができなくなるかも、と噂されていましたが、いずれも改正の内容には入っていませんでした。
生前贈与については、「資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」という文言にとどまり、どのような内容になるかは一切言及されていません。
いつ改正になるかわからない状況ではありますが、1年の猶予ができたと思って対策をしておきましょう。

財産債務調書の提出者の拡大

ある一定の財産をお持ちの方は、税務署に財産債務調書という書類を提出しなければなりません。
現行の制度の提出対象者は、合計で3億円以上の財産(有価証券の場合は合計1億円以上)を保有し、かつ、合計所得金額(退職所得を除く)が2,000万円を超える方です。

財産があっても、所得要件を満たさなければ提出義務はありませんでした。
今回の改正案では、「現行の財産債務調書の提出義務者のほか、その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者を提出義務者とする。」とされました。
所得要件がありませんので、10億円以上財産があれば、所得がいくら少なくても(申告していない人でも)対象者になるということです。

ここで注意したいのが、借入金です。
財産を借入金で取得した場合であっても、提出するかの判定や記載する金額から、借入金元本を差し引くことはできないことになっています。
つまり、不動産10億円、借入金10億円の人であっても(この場合、純資産は0円)、提出の義務があるということです。

なお、令和5年分以後について適用され、提出期限は翌年6月30日(現行は、翌年3月15日)までと改正されます。

死亡者の情報の通知

大家さんに直接関係する改正ではありませんが
「市町村は、死亡届が出されたときは、翌月末日までに、死亡した人が有していた土地及び家屋の固定資産税課税台帳の登録事項を税務署に通知しなければならない。」
とありました。
財産債務調書の改正といい、いかに財産を補足して相続税を課税しようとしているかがわかる改正かと思います。
相続税対策は生前にしかできません。しっかりと対策しておきましょう。
令和4年度税制改正~生前贈与はどうなった?大家さんへの影響~「渡邊先生のちょっとイイ話」(4)

渡邊 浩滋 氏

大家さん専門税理士・司法書士 渡邊浩滋総合事務所 代表
大家さん専門税理士ネットワーク 「Knees bee(ニーズビー)」代表
大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。
実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、立て直すために自ら経営を引き継ぎ、黒字化を成功させる。2018年大家さん専門税理士ネットワーク「Knees bee(ニーズビー)」を設立。賃貸住宅フェアなど講演も多数経験。
著書に『大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書』(ぱる出版) 『税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営』(ぱる出版)他多数。

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